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脱水 −医療的危機−

(訳:栗林淳子)


http://www.widesmiles2.org/cleftlinks/WS-658.html

キャロル・エドソンによる

水は生命を保つために欠かせません。水は、体液や化学反応のすべての媒介物であり、体温を調節する「冷却液」であり、天然の潤滑剤なのです。私たちの体が順調に機能するためには、化学物質と液体でできた「内なる海」を維持しなくてはなりません。

脱水の原因はさまざまで、深刻な事態を引き起こします。脱水とは体の水分が不足することです。子供は大人よりも容易に脱水に陥ります。子供の体は水分の割合が大きく、全体重のおよそ75%にもなるからです!

健康な状態では水分の摂取量と喪失量のバランスが取れています。水分は口に入る食べ物や飲み物によって摂取されます。また、代謝の過程でも水分が生成されます。水分は便、尿、汗、唾液、呼吸によって失われます。

ご想像の通り、この均衡の片方が変化したらバランスを取るためにもう一方も変える必要があります。水分の喪失量が増加したら、摂取量を増やす必要があります。摂取量が減少したら、体は尿を濃くして腎臓から失われる水分を減らそうとします。クレフトの子供にとって、この作用のどちらも脱水の原因になる可能性があります。脱水の症状を察知して速やかに対処することが大切です。重篤な脱水は命にかかわります。(エドによる注釈:摂食が困難な子供や赤ちゃん、慢性的逆流がある子供や赤ちゃん、手術を受けた直後で食事が取りにくい子供や赤ちゃんは脱水の危険が高くなるので、ワイドスマイルでこの問題を取り扱うことにしました。すべての両親が脱水の兆候と症状についての知識を持つことが大切だと思います。ジョアン・グリーン)

脱水の症状は、粘度の高い分泌物、口渇、皮膚の弾力性低下、落ち窪んだ目、赤ちゃんでは大泉門のくぼみ、体重減少、濃縮された色の濃い尿や無尿です。発熱、頻脈、喉も渇きもよくみられます。子供の場合、いらいらしたり、無気力になったり、眠ってばかりいることもあります。

水分の喪失量が増加したり水分の摂取量が減少したりすると脱水になります。

嘔吐や下痢が原因となって脱水が起こるかもしれません。手術を受けた子供が術後に嘔吐すると脱水を起こすことがあります。経口摂取が制限されるときには、体内の水分バランスを正常に保つために静脈内輸液が行われます。子供の脱水が解消され、自力で排尿でき、吐かずに経口で適切な量の水分を取ることができるようになるまで、静脈内輸液を続けます。標準的な500ccの静脈内輸液中には80カロリーしか含まれておらず、長期的には食事の代わりにはならないことにご注意ください。空腹を防ぐことはできません!

摂取量の減少は次のような状況で起こります。手術の後や咽頭炎などの病気のときには、子供の水分摂取量が減って体が必要とする量を満たさないことがあります。通常、少量の液体を頻繁に経口で与えることが勧められます。1日に体重1キログラム(2.2ポンド)あたり125cc(およそ1/2カップ)の水分を摂取するのが基準です。(22ポンドの子供は1日あたりおよそ5カップの飲み物を飲むべきです。)脱水を治療する際にはそれ以上の量が必要です。状況に応じてジュース、肉や野菜を煮出したスープ、ペディアライトなどの電解質補給飲料などを医師に勧められるでしょう。脱水のときには体の正常な科学的バランスが失われるので、そのバランスも取り戻さなくてはなりません。ペディアライトには水分だけでなく、嘔吐や下痢で失われるミネラルや塩分も含まれています。子供の体重が減ったり脱水が続いたりするようなら、静脈内輸液の必要があるかもしれません。

既に述べたように脱水から発熱することもありますが、発熱が脱水の原因になる場合もあります。高熱のときには体の代謝要求量が大きく増加します。汗をかくので水分の不足する危険性が増します。困ったことに、子供が脱水に陥るメカニズムにはいろいろあり、その対処法も多面的なのです。

水分を取りすぎる場合もあるので注意が必要だという点にも留意すべきです。水分の過剰摂取が起きるのはたいていの場合は病院で、子供の水分排出能力を超える静脈内輸液が行われたときです。(例えば腎臓に問題のある子供の場合です。)「多ければ多いほど良いとはかぎらない」ということを理解してください。赤ちゃんや子供の水分バランスを正すには細心の注意が必要です。お子さんに脱水や水分バランスの問題があるかもしれないと思ったら医師に相談してください。脱水の根本原因にも対処する必要があります。

(編集者による最後の説明:脱水は医学的危機になることがあります。脱水は急に、ほとんど何の前触れもなく起こり、重度の脱水は恐ろしい結果につながります。お子さんが脱水を起こしているかもしれないと思ったら、経過を見守っていてはダメです。すぐに小児科医か医療専門家に連絡して、脱水の疑いがあると伝えましょう。子供たちの成長過程で脱水が最も起こりやすいのは初期の頃、クレフトの新生児に授乳しようと奮闘しているときや、口腔内組織が痛んで麻酔のために嘔吐が起きる手術後でしょう。この頃が最も危険な時期ですが、脱水はいつ起こっても不思議ではありません。実際に脱水が起こったら、それは無視することのできる状況ではありません。)

Eメールリストの中のある両親、クレフト・トークでもこの話題を取り上げています:

最近、ひどい味のペディアライト(Pedialyte)の代わりになる新しいタイプのすばらしい電解質補給飲料を見つけました。ペディアライトのボトルのすぐ隣に置いて売られていますが、凍らせると、ずっとおいしいのです。ペディアライトと似ていますが、もっとおいしいのです。解けた状態でもペディアライトよりおいしいのですが、冷凍かシャーベット状のときが最高です。かかりつけ医は赤ちゃんに固いものを与えさせてくれないと思いますが、シャーベット状のものをコップであげることができます。ただし端がとても鋭いので、熱や吐き気や下痢の子供に与えるときには、大きな子供のためであっても、必ず覆いを完全に取ってくださいね。普通のアイスキャンディーのことではありません。ペディアライトの隣で電解質補給飲料治療のために売られていますので、薬局でお尋ねください。いろいろな商品があります。息子がウイルス性胃腸炎になったときに電解質補給飲料を探し、ペディアライトは息子の口に合わなくて飲もうとしませんでしたが、これは大成功でした。ただしかかりつけ医に断りなく電解質補給飲料治療を行ってはいけません。幼い赤ちゃんの場合は特に、正しく行わないと問題が起きる可能性があります。心配な点をかかりつけ医に相談してください。子供の心拍はとても速いので、お子さんの心拍が速いというだけで脱水だということはできません。しかし、脱水かもしれない子供を見守るときには、すべての兆候や症状が現れるわけではないと心に留めておいてください。子供の体の反応はそれぞれですから、脱水かもしれないと思ったら、リストのすべての項目が満たされるのを待たずにかかりつけ医に連絡してください。

(訳注:ペディアライト http://pedialyte.com/ )


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